活活(いきいき)寄席とは…
大人向け教育・文化セミナーとして、様々な分野の講師を招き、教育環境を支える大人のコミュニケーションの場です。
今後の活活寄席
9月 3日(日), 3月 3日(日)
8月6日テクノアークしまね大会議室を会場に第2回活活寄席を開きました。今回のゲスト真打ちは、しまね産業財団インキュベーションマネージャー前田貴さんです。
まえだたかし:1967年8月6日生。島根県安来市出身。小学5年生からスポーツ少年団で野球を始め、中学~高校~大学を通じて白球を追いかける毎日を過ごす。同志社大学を卒業後、1990年に総合商社の日商岩井(現:双日)に入社。トヨタグループ向けの機械ビジネスを皮切りに、北米、東南アジア向けプラント輸出を多数手掛ける。2005年に豊田通商へ転職し、新規事業開発、海外子会社の経営企画の他、米国駐在中はトヨタグループの中核部品生産会社のVPを務める。2015年にミスミ、2017年に京都製作所への転職を経て、2022年より(公財)しまね産業振興財団のインキュベーション・マネージャーに就任し、島根県内での起業家育成やスタートアップ企業の経営支援を行っている。家族構成は妻と2人の息子。趣味はゴルフ、映画鑑賞。保有資格は中小企業診断士。
島根県の新設法人数(2022年)を見ると、製造業が少なく、建設業が多い。そしてサービス業が大半なのが特徴です。
386件というのはやはり少ない。しかも松江市と出雲市で全県の57.5%を占めています。
休廃業・解散が340件ということは、新しく生まれている企業と廃業する企業とがほぼいっしょです。減り続けているのが島根県の実態と言えます。起業を増やしていかないと未来を担う人たちの受け皿がないということになります。
起業家とは、自ら事業を興す(起業)者をいいます。これを作るのが自分の使命だと考えています。
これは、私の考える起業に向けたステップです。「儲かる仕組みを考える」これが抜けている場合が多いのです。儲けないと続きません。
構想が何によって生まれるか、まず「志」、感動しない人は動きません。モチベーションは感動から来ます。それを「理」、思考しなければなりません。感動しているだけではダメなのです。そして「動」、行動してはじめて構想が形になります。これが絶対に必要です。行動する人は、ベラベラしゃべらない。
決心は毎日できます。そして忘れる。大事なのは覚悟です。これは決心と覚悟のイメージです。起業には継続的な覚悟が必要です。
数年前から高校野球を指導していますが、これは高校球児の卒業にあたって贈った言葉です。
今の子は無理をしない。自分を器ととらえるなら溢れるまで入れてみろ、自分を追い込め、と言いたい。自分を守り過ぎないでほしいと思います。
批評家と批判される側、主役は批判される側です。
これからも島根で起業する人を育てていきたいと思います。
7月9日、15名の参加を得てテクノアークしまね中会議室にて第一回活活寄席を開催しました。塾長、副塾長の話の後、有馬毅一郎先生にトリを務めていただきました。
私は、佐田のポツンと一軒家のようなところで生まれ育ちました。田舎育ちは自分にとって誇らしい財産です。
今は、少しでも多い方へ、都市に近い方へ、と望む時代に生きています。それはなぜなのか。それは真実なのか。私はそうは思わない。これからの時代は、高尾小のような小さな学校で育った子どもが活躍するでしょう。なぜなら、小さな学校は、教育の基本的な活動ができますが、大きな学校ではそれが難しい。田舎の学校の方がいい教育ができる可能性が高い。例を挙げましょう。平田の鰐淵小学校猪目分校(21013年廃校)では、カジカガエルの研究論文を20年にわたって出し続けました。世界中こんなハイレベルの研究をしたところはありません。世界の文化遺産と言っても過言ではない。そこに赴任してくる先生もカジカガエルについて知りません。大人も子どもも対等な立場で研究して育つのです。こんなことができる(教育環境や文化の)総体がすごいことなのです。高尾小学校の日常にも同様のものがあります。1年生から高座に立ってお客さんの前で落語をする。普通考えたらできないです。でも、先生が少しずつ能力を伸ばして広い地盤を築き育てています。一人一人に違った対応をして育てています。これが30人も40人もいたらできません。以前、知夫中バレーボールはとても強かった。全校で男子が6人しかいないのに郡や県の大会で活躍するのです。なぜできるのか。つまり、やればできるのです。高尾小もやればできる、でできているのです。
山を高くするには、裾野を広げなければなりません。裾野を広げた育ちをさせるためには、大人が賢くならねばなりません。
教育の原点は、1対1です。一人一人の違いをどれだけ大事にするか、です。集団に入れておけば切磋琢磨すると思われているがそれは本当でしょうか。たとえ1対40の教育であっても、その中に1対1がどれだけあるかが問われるのです。
明治の学校は、複式学級が当たり前でした。子どもが生まれ育つところで勉強させました。今は、経費を減らすためにまとめようとする。はたしてどっちがよいのか日本人は分からなくなってきています。
通常の学校は同年齢の「ヨコ」構造です。しかし、世の中は家庭も社会も「タテ」構造です。ヨコばかりで同質化、均一化が進んでしまえばタテに弱くなるのです。私は十数年前にある財団から相談を受けて私塾を立ち上げました。ここでは学校では学びきれない目標や内容を掲げ「自然」「郷土」「伝統文化」に学ぶことを柱にし、3学年いっしょに学んでいます。このような一人一人に応じた教育を意識的につくっていくことが大切なのです。
ゲスト真打ち 有馬毅一郎島根大学名誉教授
ありま きいちろう:教育学博士。全国社会科教育学会顧問。公益財団法人ごうぎん島根文化振興財団尚風館校長。にこにこ寄席大ファンで、2022年度パナソニック教育財団子どもたちの〝こころを育む活動〟に推薦。高尾小学校の落語活動は全国大賞に輝いた。